君の中で僕は眠る


僕は直視しないように
マグカップに目を向けつつ女を視界に入れた。

「今日は何時に帰宅の予定ですか?
父が今晩一緒に食事でもどうかと。
広樹さんに会いたがっていましたので。」


ああ、そうか。

そうだった。


僕はこの女と結婚したんだった。


自分の妻のことなのに
誰だか分からなくなるなんておかしい事なのだろう。

もう一緒に生活して1年にもなるというのに。

それでも僕は毎朝同じような錯覚に出くわす。