どうしたの?とは聞けなくて、父さんも母さんも私の前では笑顔で、変わらなくて。 真実を知った今はどうも思わないけど、それまでは後悔してた。 あの時ソファーに座る父さんに駆けよって、どうしたの?って聞けてたら 何か変わってたかもしれないって。 しばらくして完全回復ではないけれど、体調が良くなり退院した母はどこかキリっとしていて、何かが変わった気がした。 母さんが離婚届けを差し出し父さんが印を押し、たったそれだけで私達家族が2人と1人にされたのは、 それから間もなく、寒い冬の日だった。