まるで新築のようだ・・・黒檻の中に静かに佇むミルク色の建物。

 高級住宅街の中でも一際目立つ、豪邸が俺の目に映る。


 表札は【小柴】家のもの。













     これは・・・でか過ぎるだろう。







 無駄にでかすぎる・・・失礼、いつ見ても煌びやかで広々とした所だな。




 ピンポーン・・・ピンポーーーーーーンン・・・・・・



 
 俺はチャイムを押す時、否が応でも音を伸ばそうとしてしまう。
 由宇や葵にはおかしい、というコメントを頂戴したが、それはどうでもいい・・・なんか押した気がしないんだよ、こうしないと。






 『はい、どちらさまですか』

 きびきびした50過ぎくらいの男性の声。葵のお世話係であり・・・自称【葵のお友だち】(笑)


 「・・・武山さん。真です。俺のこと、覚えておられますか?」




 インターフォンから発せられる沈黙という名の拷問。あ、覚えていないのね・・・落胆にも似た感情が押し寄せてくる。最後に逢ったのは何年前だろう・・・てか、これじゃあ俺・・・入れないじゃあないか。