羊の皮を被った狼のように。

 儚げな顔をしつつ嘲る笑みを隠す人間のように。






 なんでなのさ。




 悲しくなるじゃないか。



 私は昔から、本当にうまく嘘がつけない人間だった。

 今でもきっとそう。




 そういう人間は、この世界では生きにくい。
 日々暮らすことに不自由さが生じるから。
 【正直で真面目がいい】なんて昔も今もよくきく言葉だけれど。
 そんなことないんだよ。
 だって目の前にいるじゃないか・・・





 改めて、気付いてしまう。思い知らされてしまう。
 兄もユウもお母さんもお父さんも・・・
 そうじゃないか。

 彼らは正直じゃないし真面目でもない。
 けれど、なにか私にはないものをもっている。




 要領の良さ?

 





 どうしてこんなことを考えてしまうのか。

 ・・・こんな自分が嫌いだ。一番嫌いだ。







 いつから、





 傍観することを臨んだのだろう。輪に入ることを恐れたのだろう。




 いつから、





 こんな風になってしまったのだろう。