ユウはくつくつ・・・と喉を鳴らすようにして笑う。

 そんなことをするもんだから、視線が一点に集中するんじゃないか!!




 「あの・・・ユウ・・・? さん。なんで笑ってるんですか」


 恐らく年上、という判断を下した私は敬語でおずおずと質問。

 ユウは目をまるくさせて首もいっしょに傾ける。


 『あれ・・・俺、君に名前言ったかな~』


 と、鼻をこする・・・・・・可愛い。



 「あの・・・さっきの女の人が・・・」


 と、いたって平静な私・・・外面だけは。


 『あぁ・・・そかそか・・・っあぁあ!!?』



 ユウは後ろへと一気に仰け反る。右手にスプーン、左手で顔を覆って。

 伏せられた顔には、横の髪がはらりとかかり・・・顰めた表情に少しだけ汗を浮かべて。



 『・・・君に見られちゃったんだったね』

 不意に見せる笑顔。辺りから、ほうっ・・・と安堵にも似た溜息が聞こえてきた。





 お前ら、まだ見てたんかい。




 でも・・・・・・騙されないから・・・わたしは・・・。







 「そうですねぇ・・・でもまぁ、彼女、泣いてましたし・・・なんというか・・・」




 『許せない?』




 ユウはふっと笑みをこぼす。妖艶な・・・くそっ、男のくせに!!


 「そんなこと、私には関係ないでしょう? だって私たち、さっき出逢ったばかりだし・・・」


 『関係あるよ』





 再び、にこりとする憎き? 男。



 そう・・・憎いのだ。





 憎く思ってしまう理由はハッキリしないし、見え隠れする魔王スマイルに圧倒されて
しまうが・・・・・・。








 私はこいつが嫌いだーーーーーーー!!






 嫌いだと思わなければ、いつか、こやつの魅力に呑み込まれてしまう!!



 こいつは人間じゃない!!


 ・・・っていうと失礼だけれども。

 でもあえて、もういってしまおう。