いやいやいやいやちょっと待ってよ来るな来るな来ないで!!
カツ。
すらっと伸びた長い足は、もはやお約束とでもいうべきか・・・
私の目の前でとまってしまった。
私は全身の血の気が引くのをゆっくりと感じた・・・
なにを隠そう、私のモットーは『君子危うきに近づかず』。
立派な平和主義、狡さも伴う事勿れ主義でもある。
「行こうか。アキちゃん」
案の定、ギャルは涙を含んだ目で睨んでいる。すごい形相だし、
心臓が縮むかと思ったが、なりより恐ろしかったのは――真正面に立つ男の
無言の圧力――まず目が怖い、氷のように綺麗なんだけど、今にも襲い掛かりそうな
勢いがある。皆さんにもこの感じ、分かるだろうか?
有無を言わさない――否、言わせない・・・
背後に染み付く、黒いオーラ・・・
恐怖の大魔王
そして、私が最も苦手とするジャンル・・・
両親と似たような空気を漂わせる男よ
頼むッ!! 散ってくれ!!
