「ただいまぁ〜」


その声と同時に慎吾が帰ってきた。


「お、おかえり。」


「おっ!準備万端じゃん。」


あたしの姿を見て慎吾が言った。


「このワンピでいいかな?スーツとか持ってないし…やっぱりちゃんとスーツとかの方がいい?」


「ワンピで十分だ。スーツなんてとんでもない。むしろ、普通の格好でもいいんだぞ?」


そう言いながら慎吾が近付いてきて…あたしをそっと抱き締めた。


「そんなに不安そうな顔するなよ。大丈夫だから。
俺の親は菫を取って食いやしないし…。」


「ごめん…
慎吾のご両親に会うのがイヤなんじゃないからね。
ただ、ちょっと緊張しちゃって…。」