紅い記憶

「どんなことを思い出したの?お母さんの顔とか思い出せた?」


「今、お父さんは生きておられるのかい?」


吉永、宮城は口々に質問した。桜はそれにゆっくりと答えていった。


「あ・・・母の顔は、昔から私が持っているこのペンダントの真ん中に映っている人だともいます。でも、フラッシュバックを通して顔をはっきり思い出したわけではありません。
それと、父は逃げられなかったそうです。火事になってあたりが急に燃えて・・・・・火事になった原因は・・・・きっと放火だったと思います。」





「放火!?」


 吉永は驚いて声をあげた。



「犯人のような人の顔はわからなかったんですが、誰かが家に近づいている瞬間を、そしてその直後に火が上がった瞬間を、フラッシュバックで思い出したんです。」




「その近づいてきた人の性別とかもわからないのか?」




「はい・・・。」



「犯人に心当たりはないの?お父さんに恨みを持っていた人とか・・・・・」




吉永の発言に宮城が注意を促す。



「深雪先生!それは・・・!」




「あ・・・ごめんなさい。」



「いえ・・・平気です。でもいないんです。・・・・というより小さいころの私にはそんなことはわからないし、記憶もないし。さっぱりで・・・」




「身長や体型もわからなかったか??」


「はい・・・。しゃがみこんで近づいてきたので・・・」



先生と桜のやりとりに、ほかの4人とも静まり返る。

飛鳥や圭、善治も火事の後のフラッシュバックについて話を聞くのはこれが初めてだった。



「けどよ、それが事実なら、殺人事件ってことになるんじゃねーか。」



善治が珍しく重々しい顔つきで言った。




「そういうことになるんでしょうかね・・・」



飛鳥も納得していた。



その言葉に、稔がきっぱり告げた。



「俺が、桜の家に放火をした犯人を必ず捕まえてみせます。」