昨日のことがあったからか、桜はいつもよりとても早くおきた。
稔は桜が起きていると自分もつられて起きてしまうので、今日は2人していつもより2時間も早起きだ。

たまには一番ノリで登校も悪くないかと2人は早々と家を出たが、稔はあまり眠れなかったのか、とても眠そうだった。
 


昇降口を入ると、すぐに保健室がある。


 この学校の保健医は、吉永深雪(よしながみゆき)という、とても綺麗で親しみやすい先生だ。


 吉永は、稔達5人の事をとても気に入っている。


 当然、気分の悪そうな稔を見かけると、一目散に駆け寄ってきた。


「稔君、どうしたの?具合悪いなら保健室で休んだら?」


「あ…別に何でもないですけど…ちょっと…」


 眠くてぼーっとしているだけなのだが、吉永には落ち込んでいるように見えたらしい。


 続けて質問する。


「何か悩み事でもあるの?私で良かったら、相談に乗るけど?あっっ!桜ちゃん!あなた、何で稔君が顔色悪いのか、心当たりある?」




 桜は吉永とよく話すので、昨日の事を相談してもいいものかどうか、稔に目で合図を送った。

稔はかすかに頷いている。