「俺、……」 「…うん?」 「……俺、有紗が好きだ。誰にも渡したくない」 そう言って抱き締めてくれた彼の頬が、少し赤かったのは気のせいだろうか? 離したくない、と耳元で囁く彼の声が、震えているのは気のせいだろうか? 背中に回りかけた手に気づいて我に返る。 このまま抱き締めたい、って思う気持ちと、教師と生徒っていう立場を考えると、素直に行動出来ない。 「坂下くん…」 名前を呼ぶと、答えるように腕の力が強くなった。