「誰にも触られなくて良かったってこと」 「…………え?」 拍子抜けしたような表情に思わず吹き出す。 「え?え?何?どういうこと?」 「だから、こういうこと」 スッと距離を縮め、少し屈んで顔を傾ける。 ――チュッ わざとらしく音を立てて唇を離すと、案の定、ポカンとした表情が見られた。 思わず吹き出した。 「……えぇ!?」 数秒してから遅れて聞こえた驚きの声。 「う、うそ…」 「ほんとだよ?美鈴さんのこと、ずっと好きだった」