足に力が入らなくなって私はその場に前のめりに座ってしまった。

(足首、痛い…。)

忘れようと努めていた足首の痛みが急に激痛となって襲った。


「先輩?あの車となんか…」

心配そうに覗き込んでくる佐藤君はなんだか神田を思い出させた。


「ううん、違うの。
実はね、一昨日足を挫いてしまって、急に痛みがひどくなったのよ(苦笑)」


佐藤君を安心させようと茶目っ気を含めて話した。


「えっ!?
全ッ然気づかなかった…。」


「気付かれたら困るわよ。(笑)」

笑いながら立ち上がって佐藤君を見る。


「さ、もう行かないと!
他のスタッフに迷惑かけちゃうよ。あ、一応内緒ね!もう大分良くなってるし。」


嘘だ。今もズキズキと激痛がある。正直、駅まで歩けるかさえ分からなかった。


1階に降りるとまだ数人のスタッフが残っていた。

「遅い!確認にどれだけかかってんの!」


「すみません。」


「…ったく、2人で何やってたんだ?」


周りのスタッフを見るとなぜかみんな意味深に私と佐藤君を見ている。


「ち、違いますよ!!
少し話をしていただけです!!」


なぜか急に真っ赤な顔をして佐藤君が叫んだ。


「話ねぇ〜…
今からみんなで飲みに行くけど綾乃ちゃんどうする?ちなみに健吾は強制な(笑)」


みんなと行けばあいつらも諦めるかな。よし!!


「行きます!」


「決まり!じゃあ出発〜」