「お疲れ様です!
お先に失礼しまーす!」


「あ、綾乃ちゃん!」

「はい?」

「悪いけど、2階の窓が全部閉まってるか確認してきてくれない?いま、こっち手が離せなくて。」


レジで集計しながら声をかけてきたのは先輩の川崎さん。
しっかり者のお姉さん的存在だ。



「分かりました。」


私は早速、2階に上がって窓の確認をし始めた。

「あれ、先輩何してるんですか?」


「あ、佐藤君。
川崎さんに窓の確認頼まれたの。」


声をかけて来たのは夏休み限定バイトの佐藤君。

(なんか、4つも年上には見えないんだよねぇ…(笑))


ここでは年齢はあまり関係なく先に入った人にはみんな敬語というのが暗黙のルールらしい。



「じゃあ、俺こっち確認しますね!」


「ありがとう。
じゃあ、お願いね。」


それぞれ、窓を確認し始めた。


「あれ、あの車……」


「こっち確認終わったよ。
……って、どうかしたの?」


「あ、先輩…。
いや、あの車昨日もずっといたんですよ。」


「え、どれ……?」

窓から外の道路を見下ろした。

「あの看板の後ろあたりに…」


指を指し示されたところを見ると一台のワンボックスカーが止まってた…

(あれっ…て、…まさか…)


「あの車、昨日もいたって言った…?」


「はい、オレ昨日はマスター達と飲みに行くことになってて…」


店の戸締まりはマスターがいつもしていた。


「店終わって、マスターが戸締まりすると、あの車すぐ立ち去ったんです。
……って、先輩!?顔真っ青ですよ!?」