神田春哉だった。


「どうして………」

小さく呟いた。
なんでいるの?
もう関わりたくないのに。


「走れる?」

えっ?


神田春哉が目線は男たちに向けたまま話しかけてきた。


足がズキズキと痛み出してたけど私は頷いた。

「……うん」


「じゃあ、駅に俺のバイクがあるからそこに行ってて」



………えっ

神田春哉は前を向いたまま私に言った。




「……嫌。」


こいつに貸しを作りたくない。前にいるのは3人。なんとか………なる!
私は目を閉じて深呼吸を1つ。


(足……痛くない。大丈夫。)



目をあけて冷めた声で神田春哉に話しかける。



「神田君。
先に駅に戻ってて。」


「え?」


神田春哉は驚いたように私を見ているけどかまわず前に出る。


「危ないからダメ。」

「大丈夫。」

「大丈夫じゃない!」

「いいから!!」

「よくないっ!!」



「おい!ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」


今まで黙っていた男たちが声を荒げながら襲いかかってきた。
私と神田も言い争うのをやめて構えた。







3人を倒すのにあまり時間はかからなかった。
殴りかかってきた拳を交わして急所を蹴り、前のめりになったところでこめかみにもう一発蹴りをいれた。


一方、神田春哉は2人を相手に余裕の表情だ。
片方に視線をやって向かっていったかと思いきやもう片方の鳩尾に一発いれてから呆然とした男の鳩尾に一発いれていた。