10分後―
コンコン―
「はい。」
扉が開いて、川崎さんと、
神田が入ってきた。
「………大丈夫か?」
「……なんで…」
どうしよう…
年を誤魔化してるのは
神田も知ってるけど、
『綾乃』として、ここにいることは話していない。
「あの、2人っきりにさせてもらえますか?」
神田……?
「分かったわ。」
そう言って、川崎さんは更衣室を出ていった。
「大丈夫だ…。」
「………えっ??」
「店で名前は呼ぶなって
アサキに言われた。」
「……アキが……?」
「詳しくは教えてくれなかったけどな。」
アキ…………。
「さっき、アサキに電話したらすぐ、にっし―が着てくれるって。
だから、それまで寝てろ。」
「なんか…怒ってる??」
「怒ってない。心配してる。」
………ゴメンナサイ。
「ここでの…名前…」
意識が……
「なに?」
「綾乃っていうの……」
「分かった……」
神田が返事したのを
聞いたあと、意識がなくなっていった。