その日の夕方、
私はバイトでホールを右往左往していた。



―カラン

来客を告げる鈴がなり、
私は急いで出迎えた。

「いらっしゃいませ。」

「あれ、キミ
ここで働いてたの??」

(あ…『killer』の店員さんだ!!)

「4名様ですね?
喫煙席、禁煙席ございますが…」

「あ、喫煙で…」

「では、こちらの空いている席をご利用下さい。」


例え、顔見知りが来ても
その人はお客様。
お客様への対応には
責任を持つ。
これは、この店では
当たり前のこと。


「それでは、
お決まりになりましたら
お声をかけてください。」

一礼してその場を離れて厨房に入る。


「ねぇ、彼、知り合い??」

「川崎さん……。」

あんなことを言って
気まずくなったかもって思ったけど川崎さんは前と変わらず接してくれた。

「『killer』ってショップ
ご存知ですか??」


「えぇ、入ったことはないけど」

「あのお客様はそこの店員さんです。」

「そうなんだぁ〜♪」

「か、川崎さん……?」

その笑顔、人前ではしないでくださいね…。

「イケメンだねぇ〜♪」

(確かに外見、いいな〜)

「綾乃ちゃんの周りって
イケメン多いよね〜♪
前に綾乃ちゃんを迎えに来た男の人もなかなか…」

「和君…イケメンですか?」


なんか、俺様っぽいだけで
イケメンとか思ったことない。
(超失礼)


「何言ってんの!?
あんなイケメンその辺にいないわよ!!」


そうですか……?


それから、マスターに怒られるまで川崎さんはイケメンについて語り続けた。