春だけど、まだ夜風が凄く冷たくて、酔いを醒ますには調度よかった。


「矢野さん!!」


煙草自販機の前で矢野さんを見つけて、追いかける。

「綾乃さん……。
急に走ったら、酔いがまわって危ないですよ。」

まわってきたかも……;

「だって、矢野さんどっか行くのかな……って」

ちょっと、飲み過ぎたかも…。

「そこの公園で酔いを醒まそうかと。ご一緒しますか??」

矢野さん、酔ってないですよね??なんで……

「一緒に行きます。」

気付いたらそう言っていた。




公園には、さすがに誰もいなくて私と矢野さんは近くのベンチに腰をおろした。


「先日はすみませんでした。
その……つい……」


真っ赤になりながら謝る矢野さんの言葉の意味を私は正確に理解していた。

「いえ、心配をかけてしまってすみませんでした。」

この前、店に謝罪に行ったとき、矢野さんは私をキツく抱き締めて離さなかった。
そのせいか、傷が酷く痛みだして迎えに来てくれた和君に支えられて帰ったのだ。


「あの、体は大丈夫なんですか?」


「もうすっかり♪」

「そうですか。」

ほっとする矢野さんを見て
私もほっとした。