扉の向こうにアキが立っていた。

(どういうこと!?)

「お前をここに運んで2日後に、尋ねて来たんだ。」

主は説明してくれた。

最初は知らないふりをしようと思ったが、本気で心配していると分かり、条件を出したこと。


「条件…?」

「毎日をきちんと過ごすこと、会うか会わないかは、お前の意識が戻って、お前自身に会う気があったときのみ会わせるってのが条件だ。」


「カノ………。」

いったいどれだけ泣いたんだろう。目が真っ赤なアキが目の前に立っていた。

「アキ…ゴメンね。」

「許さない!
カノは自分勝手すぎる!!」

私は黙っていた。

「なんで…、心配しちゃいけないの!?なんで、帰る場所がないなんて言うの!?帰る場所ならあるでしょ!!ウチがあるでしょ!!それに!!なんで、平気で自分を傷つけるの!?」

左手首に巻き付けられてる包帯の下にはきっと跡が残るだろう。


「カノのバカー――!!!!」

それからずっと、泣き疲れて眠るまで、アキは私を離さなかった。

眠ったアキをベッドに寝かせて、主と再び向き合った。


「生きれそうか??」


「正直、分かりません。
でも、アキの所に帰ろうと思います。
帰って、いっぱい怒られようと思います。」


そう、まだ私は生きたいと思ってはいない。
でも、今は帰ろうと思う。

「そうか。傷が完治するまでは定期的に来い。
その傷は、病院には行けない傷だろ。」


「ありがとうございます。」


その日の夜に和君が迎えに着てくれた。
ここまでやつれた和君は、お姉ちゃんと雅君を死なせた日以来だった。


迎えにきた和君もまた、
私を抱き締めて震えながら泣いてた。
結果、この日は泊まって、朝方、我が家に帰った。