やっぱ人多いな…。

出店の裏を通りながら
神田たちを探す。

いないなぁ……。
背が高いから目立ってたんだけど。



ん?なんか呼ばれた??


「……!橘さん!!」

振り向くと神田がこっちに走ってやってきた。

「神田君……大丈夫??」

スゴい汗……。

「大丈…夫な…わけ…ないじゃん…っ」

肩で息をする神田を見て、
はぐれた事を後悔した。

「ごめん……。そうだ!
今何か飲み物買ってくるね!!」

ちょっと待ってて

そう言って、出店に向かおうとしたら突然後ろから抱きしめられた。


「え!?ちょっ、神田君?!」

「いらない…から…。
ここにいて……。」


耳元で囁く神田の声が
なんだか心地よくて体に鳥肌がたった。

「分かったから!
耳元で喋らないで!!」


「ごめん…。じゃあ、はい。」

なんで…手?

「あの……」

「もう捜したくないから。」


はい…ゴメンナサイ。


神田と手を繋いで出店を見ながら旅館に戻った。

その後は、みんなで花火をしながら、西瓜を食べたりした。


しばらくたって、旅館の女将さんが声をかけてきた。


「香弥乃ちゃん。
ちょっといい??」

「はい、何ですか?」

「露天のほう、もうすぐ掃除するから今のうちに入ってらっしゃいな。」

そういえば、露天からの夜空が綺麗って言ってたような……。

「分かりました。
教えて下さってありがとうございます。」


「上がったら教えてね。」

「はい。」


私は旅館の露天に向かった。