「日直、ごくろうさまでした」

岩永先生がほほ笑んだ

「あ…いえ」

俺は首を振ると、先生にお辞儀をした

「先生…」

「はい?」

岩永先生が笑顔で俺の目を見る


「首の後ろ、怪我したんですか?」

これくらいのいじわる
いいだろ?

「え?」

俺はキスマークのある痣を指先でツンツンとつついた

「痣ができています」

「ええっ?」

岩永先生の顔が真っ赤になった

やっぱり
これはキスマーク


彼氏との行為を思い出した?


「あ…すみません
痛かったですか?」

俺は手を引っ込めた

俺が触ったせいで、痛みが出たようにふるまう

痛くなんかないだろうけど

『冬馬 郁巳』は男女間のことに疎いって設定だから



「ううん、違うの
気がつかなかったな
どこにぶつけたんだろうね」

噛まれたんだろ

「気をつけてくださいね」

俺は先生にほほ笑むと、職員室を出た