スピンオフ『真っ赤なお伽話』

「ふう。」
轟々野は小さなため息を言葉と共にはく。
その可愛らしい顔の頬や口周りは不揃いの深紅の水玉で彩られていた。
轟々野の周りには首の一部がまるでなにかに引きちぎるれたかのような、人間が7人。
いや、もはや生命体では無くなっているのでそれが正しい数え方かどうかは謎である。
乱暴に口周りをパーカーの袖で拭う轟々野。
「んー?」
不思議そうに首を傾げる轟々野。
「俺は今までに俺のことを知らず命を狙われることはあった。だけど、俺の事を『魔王』と知って戦いを挑まれたことはほとんどない。」
ましてや、先程の戦いを伺う限り相手はかなりの格下。
もはや、初体験と言っても良いレベルである。
轟々野はパーカーのポケットからメンソールの飴を一粒取出し、凶器で噛み砕いた。
「やーな予感がすんね。」