―――初夏の日差しが病院に差し込んでくるようになり、もう、あの春らしさはすっかり消え失せた。








俺なりに努力し、オペも毎回順調、担当医として、より患者を任される程になった。


そんな順調な毎日を過ごしていたある日―――。










「尾上くん、新しくまたオペが追加されたのだが、君にもオペに加わってもらおうと思う。」

部長が俺の憩いの一室へやって来て、そう告げた。




「わかりました。」


俺はいつも通りカフェラテ片手にスケジュール帳へ記入する。


「部長、カフェラテ飲みます?」


「あぁ、頂こうかな?」

部長の分もカフェラテを入れ、部長に渡す。







「今回のオペは、少し変わったものだ。」


「と、いいますと?」
部長に先を説明するよう催促する。



「今回の患者は、左足内側部血管腫だ。
一番深いところに患部があり、少し大変かもしれないが、患部ごと筋肉を取り除く。まあ…フィルムを見る限り、患部は狭いから大丈夫だとは思うがね。ま、よろしく。」


荻田部長はカフェラテをのみおえると、部屋から出て行った。







なるほど、珍しいオペだな…。