彼女がこの病院で、手術を受けなかったら、

彼女が病気ではなかったら、

俺が整形外科の医師じゃなかったら、



彼女の担当医にならなかったら







彼女とは、出会えなかった。


彼女の存在を知れなかった。







他の病院で、他のやつが担当医になってたかもしれない。

俺は考えただけで無性に、腹が立った。








彼女の部屋はカーテンが閉まっている。






はぁ。
あれ以来、カーテンを開くのがトラウマだ…







勢いよく、開けた。