「俺…もう…駄目。我慢…出来ないっ…。」


もう、彼女を壊してもいいから、強く抱きしめたいという、胸のうちから私を貫き動かす、強い衝動に駆られながら彼女をより一層強く抱きしめた。



「でも…先生…私を好きじゃないって…」
彼女はほとんど声にならない声で呟いた。

「そんなの嘘に決まってるだろ…。今まで必死に、抑えて来たんだ。俺の気持ちを。
でも…もう我慢できない…」

本音を心の底から、吐き出した。
今まで、よく我慢したものだと思われるくらい、強く、熱い気持ち。


「私も…患者の頃から…17歳の時からずっと,ずっと…好きでした…。先生に会いたくて,先生の『医者になれば?』って気持ちを胸に,看護師になる事を決意しました…」

彼女の、予期せぬ言葉が更に俺を駆り立てた。


「俺も…いけないかもしれないけど…昔から…好きだった。お前を…愛していた…。」


彼女の白い頬に一筋の涙がつたった。



こんなに満たされた気持ちは初めてだった。こんなことがあっていいのか……夢みたいだ…
そんな満たされた気持ちに満たされた私に、不安そうな眼差しを投げかけた。


「じゃあ…あの…写真の人は…?」

机の上に置きっぱなしの写真を指差し、彼女はゆっくりと尋ねた。