五階、ナースステーションーー。

整形外科病棟のナースステーションである。

人数が少ないながらも、看護師たちが目も回るほどにくるくると忙しげに立ち回っている。
そのなかでも一層眼光鋭い看護師ーー浅田加代主任。
いかにもキレモノでただならぬ雰囲気をまとっている。

「あの、浅田主任。」

「はい、なんでしょう、尾上先生。」
きりっとした、心の底まで見透かされそうな目で俺を見据えた。

俺も多分、こういう系統の人間なんだろうけど、なんだかちょっととっつきにくくて、苦手だなあ、なんて思ってしまい、思わずひっそり苦笑してしまった。

「僕の、助手の看護師を探してまして。人手不足なのは重々承知してるんですが、一名手配していただけないか、と……。」

若干まごつきながらも、俺は答えた。

「今整形外科にいる人数では、申し訳ないですけど、到底手が回らないかと思われますわ。他の部署から呼び寄せましょうか?」

そういって、俺をのぞきこんだ。

「ええ……そうしていただけると、助かります……。」
俺はなんだか背中に冷や汗でもかいたんじゃないかという感覚に襲われた。

「どうしましょう?小児科からでもひっぱってきましょうか?」

俺は思わず反応してしまった。
なんと言う、グッドチャンス!!
逃してはならぬ、チャンスがいきなり舞い降りたのだ。まるでこの浅田主任が幸福の女神に見えないこともなくなってきた。

「そうですね……!」

思わず声に力が入る。