緒方はそんなあたしを、細めた目で見ると小馬鹿にしたようにフッと口元を緩めて笑った。


「何、急に突拍子も無いこと言っているんだ。行くぞ、バカモン」


上司ってすごい。

いつもあたし達の上にいて、あたしや他の皆を見守って指導してきたんだ。

緒方は…嫌味で口うるさいけど、上司としてなら誇りを持って尊敬してると言える。


「ふふ、緒方副部長。IDになったらお給料どれくらい上がりますかね?」


あ、しまった。これは緒方にはしてはいけない質問だった。


「……てめぇは金と食い物と昼寝のことしか頭に無いのか。仕事の3文字はどーした?」


たらりと流れる冷たい汗。


「はは……あ、あたし用事思い出したなあー?か、片付けもあるし?さらばッ」


あたしは一目散に逃げ出した。やばい、やばい。捕まったら、足蹴の刑と島流しの刑に、されてしまうではないか。


そんなことより…IDの仕事は明日からか。


おーし!待ってろよ、ID!