「陸がいいならあたしはいいけどなー」



ていうか、基本誰でもいいし。


例え憎たらしいなっちゃんだとしても。


……いや、なっちゃんがいい。



あれっ?

あたしのさっきまで激しく動いていた貧乏ゆすりがとまる。


今、あたし何を考えた?


「こらー!そこサボるな!」


明菜の酷いバカでかい声が耳を通り抜け、あたしと陸と酒巻の頭に酷い激痛が発生する。



「痛いなぁ!」


あたしと陸と酒巻の3人は、頭をおさえる。


なぜなら、あたしを含めた3人は明菜の半端ない馬鹿力で殴られたからだ。



「ちくしょー。バスケバカめ。そんな小さい身体でよくスタメンに選ばれるもんだ」


「んだ」


酒巻の言葉に、陸がうんうんと頷いた。


そして、陸がハッと顔を上げ、何かを思い出したような顔を浮かべる。


「おい、央!その歌番組って今週だよな!?」


陸が大きな声を出す。


その大きな声にあたしは耐えることができず、今でも耳の中でキーンという音が走っている。


そんなバカでかい声だすのなら、球技場で出してよね。全く。


「そうだよ。今週の土曜」


あたしの言葉が終わった瞬間、陸の顔が凍りつくのが分かった。