「マジで?」
…陸達かな。
ハッ!!
あたしはバッと顔を上げた。
今、思えばなっちゃんと2人きりじゃないの!
いや、2人きりっつか、周りは東と西の生徒がまばらにいるけれど。
それでも…ッ。
「何やねん、さっきから人の顔をジロジロと…」
なっちゃんがあたしの顔を見ては、歪む顔をさらに歪める。
「なっちゃん…、あたしとキスしたよね?」
あたしの小声とは対照的になっちゃんの瞳は大きく開いた。
「お前は、ようそんな事が言えるな」
なっちゃんの歪んだ顔が、微かに染まった様な気がした。
でもそれもきっと、気のせいなのかもしれない。
「あんなん、不慮の事故やろ。」
ハッと呆れるなっちゃんにあたしの怒りは頂点に達そうとしていた。
「あんたねぇ!あれ、あたしの初☆チューなんだよ!?返してよ!」
なっちゃんは、いかにも女慣れしてそうな顔立ちだし?
キスとか、たいして大事に思ってなさそうな性格だし?
でもあたしは、違うの!
ファーストキスは、好きな男性と交わすって思ってたのに!
なのに、何でこの不良野朗に…!
「それ、俺の台詞やわ。誰からしてきてる思っとんねん」
「なっちゃんでしょ!」

