「アンタときどき異次元に行くよね。その癖、何とかしないと」
顔をバッと上げると、しゃがんであたしを可哀相な目で見る明菜の姿があった。
「…行ってないもん。何か、あたし犯罪犯しちゃったなあと反省してただけ」
「へえ。じゃあ、お兄さんに裁いてもらいな。」
…別に蓮兄は裁く人じゃないんだけど。
弁護する立場ですけど。
でも今のあたしにとって、そんなツッコミもする余裕すらない。
「あんたは安西君の気持ちを揺さぶって…。この子悪魔野朗!」
「痛!」
明菜の手があたしの頭を思いきり叩く。
…さすが、バスケットボール選手。
強さ、半端ねぇ。
「陸の気持ちって何よ」
「あんたは小悪魔飛び越えて悪魔よ、魔王!」
「だーっ、意味分かんないよ!」
何なの、さっきから。
あたしは頬を膨らませ、立ち上がった。
あたしは上履きのかかとを踏み潰して歩くので、ちゃんと履くと違和感が生じる。
「知らないの?安西君って、央の事が好きなんだよ」
「は!?」
あたしは驚きを超えて、冗談はやめてよ☆的なノリの気持ちが先に溢れ出る。
「態度見てりゃあ、すぐ分かるよ。安西君程、喜怒哀楽が豊かな人、いないもん」
……喜怒哀楽。
今、関係あんの?

