【2年4組の安西陸さん、至急職員室へ来て下さい】
あたしと陸の間にある壁を、アナウンスによってぶち壊れた。
「今の声監督だな。ネクタイ取ったのバレたら、責任取れよ」
いつもの無邪気な笑顔を取り戻した陸は、どこか寂しげだった。
これは、女の勘?
陸は、あたしの頭に手を添えた後そのまま足早と職員室へと向かっていった。
いや、気のせいかもしれない。
あー今日、なっちゃんと会うのかあ。
嫌なようで、それを嬉しがってるあたしさえもいる。
…待って?
何で嬉しがる必要がある?
アイツはあたしの初めてのキスを奪った…相手なんだよ?
…あ、でも待って?
あれって、事故と述べた方が正しくない?
第一、あたしが暴れなければあんなキスなかったわけじゃない?
それに、暴れて半泣き状態のあたしをなっちゃんが助けようとしてあのキスがあったわけじゃない?
……これは。
これは、誰が誰の唇を奪ったって事になるのでしょーか。
これって主観的に見るとなっちゃんだけど、客観的に見たら、絶対あたしが悪いよね。
…………ハハッ
結局、自業自得かよ。
あたしは教室の床にペタリと座り込んだ。

