央が捺来の所へ駆けつけようとする。


「…ッおい!来んな!そして、見んな!」


必死に叫ぶが、央はそれを無視する。


…何なんだ!?


「あのねえ、ハゲ…ッ」

「うっさいねん!少しは黙れや!」


柏木の狙いは捺来から、央へと変わる。


柏木の右手に持つ鉄パイプが、央の頭へと降りかかる。


「…やめ…ッ!」


「おい」


突然、怒りの表れが出ている低い声が倉庫内を支配した。


…誰?


捺来は重い顔を必死に上げ、その声の主を確認する。


「…蓮兄…!」

央の震えた声で、誰かが分かった。


蓮は、央に襲い掛かる鉄パイプを見事に掴む。


しかも片手で。


「如月か!?お前、何しとんねん!」

柏木が脅えた声で、蓮に話しかけた。


捺来の頭の中に1つの疑問が浮かび上がる。


…2人は知り合いか…?


「よく名前覚えてたな。…15年も会ってないのに。」


「当たり前や!お前みたいな最悪な男は、忘れたくても忘れられへんわ!」


蓮が柏木の言葉に顔を歪ませるが、すぐに元に戻す。



「…執行猶予中に、売春に、窃盗に、暴行か。」