「…お前等も弥生捺来のツレか?」


兄ちゃんが健の胸ぐらを勢いよく掴む。


無理っすよー…。


あたしは目をそらした。


「…だったら?」

健は胸ぐらを捕まえられているというのに、顔色1つ変えない。


…あたしはある事に気付いた。


何でこの人達、なっちゃんのフルネーム知ってんの?


なっちゃんがいる場所とは反対方向に登場してきた兄ちゃん達…。


仮にもなっちゃんが名を名乗ったとしても、聞こえるはずがない。


じゃあ、何で知ってるの…!?


そう考えているうちに、健と兄ちゃん達がいつのまにか殴りあいの戦いに入っていた。


…マジっすかー!


あたしはどうして良いか分からず、とりあえず、後ずさった。



トン…


後ずさってるとき、何かがあたしの背中にぶつかる。


あぁ。

きっともう壁についちゃったんだ…。



「どうすればいいの…」


警察に言えばいいの!?


でも警察ってどこに電話すればいいんだっけ…?


あたしは手に持っていたなっちゃんの携帯を開き、番号を確かめる。