28歳にもなって、結婚しないで、家を出て行かないで…!


さっさと出て行けよ!


「蓮兄、変えてよ!今あたし桜庭海斗見てたんだから!」


「はぁ?さっさと勉強でもしてろ」


普段はチャンネルを変えたりしない…っていうか、蓮兄はあまりテレビを見ない。


理由はひとつ…。


蓮兄は、"桜庭海斗"が嫌いなのだ。


さっき、桜庭海斗を嫌いなやついないなんて名言吐いちゃったけど、前言撤回。


身近に…目の前にいたよ。



「…こんなに性悪だから、フラれんだよ。少しは学習しなよ、蓮兄♪」


蓮兄の顔が羞恥によって、真っ赤に染まっていく。


実は蓮兄には付き合って12年の彼女がいて。


蓮兄が働いている弁護事務所の事務員をしている。


28にもなれば、そろそろ結婚を考えても良い時期なのだが…。


蓮兄はその彼女との結婚を真剣に考えているらしいが、その彼女とやらが結婚意識をまだしていないらしい。


ちなみに、蓮兄はその彼女に3回もプロポーズをしている。


1回目は、プロポーズの言葉を言う前に彼女が、丁度ロケをしていた桜庭海斗を発見して、そのままできずに直帰。


2回目も、プロポーズの言葉を言う前に丁度、お店で流れた生放送の歌番組に桜庭海斗がシークレットゲストとして参戦しており、そのままできずに直帰。


3回目は、何とかプロポーズしたものの、【まだ桜庭海斗を追っかけていたい】という理由でフラれている。


3回目のプロポーズが、丁度半年前で、半年前までの蓮兄は仕事に影響を及ぼした程、落ち込んでいた。


最近やっと、立ち直れてきたのだ。