「おい、もうそろそろ終われや。東の奴等に手出したっておもろないやろ?」


なっちゃんの一言で、ガヤガヤしてた倉庫内が一瞬にして静かになる。




「おい、誰やねん!ツラ見せろや!」


倉庫の奥から、低い声が響き渡った。


なっちゃんは軽く舌打ちすると、静かに立ち上がった。


「なっちゃん…」


「…ムショに入るのは御免や」


なっちゃんはそう言い残すと、そのまま奥へと消え去った。



「…なっちゃん、大丈夫なの?」


「捺来は、自分の為なら何でもする男やで?」


また健の変なイントネーション。

ここでまで、使うか。


奥からは叫び声と、卑劣な音がする。


ああ…。


今、殴り合い…。


あたしはあまりの恐怖に静かに目を閉じた。


「……おい、まだ侵入者がいたぞ!」


……へっ?


あたしと健は静かに顔を見合わせ、そしてゆっくりと顔をあげた。


何か大きなぶっとい棒を持った兄ちゃん達があたし達を見下ろす。



「…あらまー。バレちゃった」

健がパッパッと手を叩き合わせ、立ち上がる。


……ここでも、戦争は起きちゃうの?