「やっぱり、ヤツ等か…。」


さっきから、なっちゃんが示す人達って一体何者なんだろう。


でも、やっぱり、良い人ではないよね。


「盗っ人もできんヤツが、返せなんつうデカイ口叩いてんじゃねえよ」


…声しか聞こえないけど。


向こう側ではきっととんでもない光景が繰り広げられているに違いない。


「何や?青山っつー奴は…どうやらツレではなさそうだな」


「ああ…。」

なっちゃんの言葉に健が、同意する。


だけど、あたしには全く読めない。


「早く…、早く妹を返して下さい!」


「何で俺等がテメーみたいな奴に指図されなアカンねん。カメラ持ってこな、返さん言うとるやないか!」


次の瞬間、ボガッと今まで聞いた事のない卑劣な音が響いた。


「いや…ッ」


あたしはただ耳を塞ぐだけだった。


「…カメラ。そうか、なるほど。読めたぞ」


なっちゃんがポケットの中から携帯を取り出し、腕に巻きつく時計を外し、それらと一緒に鞄をあたしに預ける。


「…な、何よ」


「潰してくる」


なっちゃんの言葉に衝撃を受けたあたしは、思わず顔を上げた。


「ここもそろそろ危ない。ましてや、出入り口はもっと危険や。央は健といてろ」


「ああ、わかった」


なっちゃんによって健に委ねられたあたしの身はただ震えているだけだった。