あたしは何が起きているかさえも全く理解できず、ただ2人の後をつけるだけだった。


しばらくすると、古い空き倉庫みたいなのが見える。


2人がそこに入るので、あたしも入る…が。

本当にいやらしい程不気味で。


自分が立てた足音さえも、綺麗に響く。


「あっ!」


「な、何やねん!静かにせえや…!」


なっちゃんがあたしの頭を叩き、威勢の良い音が響き渡った。


…痛い!


さっきから女の子の名前を間違えたり、女の子のシャツを破いたり、殴ったり!


もう本当にサイテー。


海斗はサイコーなのに、なっちゃんは史上最悪のサイテー。



「おい、青山。例のモノは」


ん?

奥から変な声がしますよ?


なっちゃんと健は、進む足を止め、そのまま端へと隠れた。


だから、あたしも追いかけて隠れる。


「…すいません」


「謝ってるだけじゃ、分からへんやろ!?」


叫び声が倉庫中を駆け巡り、あたしの耳は破裂するくらいに痛い。



「やっぱり…僕には無理です…」


青山さんの弱々しい声…。


こんな声、聞いたことないよ…。