「全部で20万円相当金額。」
「に、20万!?」
あたしと健は声を張り上げ、揃えていった。
全部…ってことは、青山さんは複数盗んだことになるのか。
んー…!
青山さん…憧れだったのに。
「…おい…、ここって」
健が驚きを隠せないような表情で静かに言った。
青山さんをつけてきて来た場所が、とんでもなく暗い路地裏。
何か、ヤバそうな雰囲気なところ。
「マジかよ。あの野朗…あいつ等と面識あったのか。これは計画的犯行って事だったのか…」
…ん?
お二人が険しい顔をするもんだから、あたしはどうすればいいのか分からない。
「…央。お前に帰れと言いたい所だがもう無理や」
「どういう事?」
「央ちゃんの先輩さんは、物凄いヤツらのツレだよ…」
…物凄い奴等?
健の言葉にあたしは首をかしげた。
帰れない。
物凄い奴等。
……彼らの言葉が全く理解できない。
あたしはなっちゃんの匂いがする学ランの裾を強く握り締めた。

