西高前も、東高前も、涙でいっぱいだ。



「あ、そうだ…。なっちゃんとこ行かなきゃ」


「あ、俺も行く!」


陸がハンカチを鞄につっこみ、あたしの後を追う。


は、はんかち…そのまま鞄の中にいれちゃうんだ。



西高前へと急いでいくと、なっちゃんの姿があった。


……後輩から、ボタンをせがまれている。


やぁーだー!

あれ、あたしがほしい!



「弥生さーん!」


かすれた声で陸が叫ぶ。


それに気付いたなっちゃんが、あたしたちのもとへと駆けつけてくれた。



「おお、安西。すげー顔だな」


なっちゃんが陸を見て、笑った。


無理もないよ。


だって、陸、泣きすぎて目はれちゃってるし。



「いや…。俺本当涙もろいんすよー。弥生さんの持っている花束を見ると…またー」



そういって陸はまた泣き出す。


「…どうすればいいの?こいつ?」


なっちゃんが陸を指しながらあたしを見る。


えー。

わかんないよー。


「対処しきれませんねー」