全てに対することが許せず、一時期は憎んでいた。



だけど、そんな俺だったのにも関わらず、弥生さんは俺を大事だといってくれている…。



……ライバルだと言ってくれている。



そんな弥生さんに、再び偉大さを感じた。



「……それに、俺、お前の野球に対する思いや、必死さ…それが羨ましかった。素直になれるお前が本当羨ましかった…」


陸の瞳から一筋の涙が伝った。



「せやから、もう一度野球やりたいと思った。もう一度0にして、野球をスタートさせたかった…。」



「弥生さん…」



「それを思わしたんは、お前やねん。本当、ありがとう」


捺来は陸の瞳に、微笑みかけた。



「もう俺は、諦めへんよ!何もかも…。」



捺来の思いは真剣そのものだった。



「俺も、弥生さんに負けぬよう毎日頑張りますよ!野球も……恋も」



鼻をすすりながら、陸がそう決意した。



「恋は頑張らんとええんのちゃう」


「あー弥生さん、矛盾してますー!」



「黙れ!泣き虫!」


「ひどくないっすか!それー!」



陸の瞳が揺れた。



弥生さんと、出会えてよかった。


本気でそう思えたんだ…。