* *



「弥生さん…」


陸が落ち葉を拾いながら、そう呟いた。


「ん?」

捺来はその場であぐらをかき、頬杖をついた。



後ろでは、仁、明菜、央がバカ騒ぎをやっている。



「…俺、やっぱ無理っすよ」


「何が?」


「央を諦めろなんていわれても、無理に決まってるじゃないすか…」



陸が震えた声を出し、目をかいた。


これは、彼の本当の声。



「俺…諦めろなんて言ってへんよ」


「でも、思ってるじゃないすか」


「思ってへん」



陸が捺来を見た。


「捺来さん、マジでバカっすね…!彼女を自分だけのものにしたいっつーのはないんすか!」



捺来は陸の言葉に何もいえなかった。


彼の本音は、そういえば初めて聞く。


「あるよ…。けどな、お前も大事やねん。別に央を諦めろなんていわへんし…。野球でも恋でもお前はライバルやねん」



捺来の言葉に陸の目頭が熱くなる。



再会して、湧き出た感情は、まず嬉しさ。


……でも、嫉妬、弥生さんの野球に対する気持ち…。