「あら?この子、どなた?」


お母さんが蓮兄から離れ、あたしにそう尋ねた。


「え、あたしの彼氏。なっちゃんだよー」


「初めまして、弥生捺来です」


なっちゃんが1つお辞儀をした。


「あっらあ!ちょーイケメン!初めましてー!央の母ですー!」


お母さんがそう言いながら、なっちゃんにさりげなく触る。


この変態ババアめ!



「うわっ。捺来くん見ないうちに、すっげー黒くなったな」


「あぁ…、はい」


蓮兄が笑顔でなっちゃんにそう言った。


実は付き合うことを最初に報告したのは、蓮兄。


蓮兄はやっぱりなと頷きながら、おめでとうって言ってくれたんだ。



でも、何かすごい視線がくる…。



その視線になっちゃんも気付いているようだった。


その視線の持ち主は…、雪さん。



「……あんた桜庭海斗の弟?」


雪さんがなっちゃんを凝視しながらそういった。


……すげー!


ドンピシャ!



さすがのなっちゃんでもこればっかりは、驚きを隠せない様子だった。


そして、一番慌ててるのは蓮兄。


蓮兄は、絶対言うな!と、なっちゃんに視線を送っていた。