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「アンタ浴衣着なくていいの?」


「浴衣着たら似合いすぎて、胸ちっちゃいのと、寸胴がバレちゃうんだもん。」


今日は、秋祭り!


祭りといえば、やっぱり最大級のイベント☆



この祭りは昔からある伝統的なお祭り!


浴衣の心配をする母をよそに、あたしは自らの身体を心配する。



「あら、そお。彼氏さん泣くわよ」


「泣き顔見てみたいもんだわぁ」



お母さんが頬をふくらませる。



そんなにあたしに浴衣を着せたかったのかな。


「もういいわ!雪ちゃんに着させるの!雪ちゃーん!」


「はいよー!」


奥から雪さんの声が聞こえた。


バタバタと雑音が聞こえ、消えたと思ったらそこには雪さんが立っていた。



「なんすか?」


「央が浴衣着てくれないの!可愛い浴衣でしょ?雪ちゃん着てくれない?」


お母さんがそう言うと、雪さんの顔がパアッと輝いた。



「まーじっすかぁ!着る着るー!」


雪さんがキャッキャッとはしゃぎ、浴衣を眺める。


……子どもだねぇ。


あんた、いくつですかい。


「雪、それ着たらお前、寸胴がバレるぞ」