「なっちゃん、あたったよ!」



あたしはバットを捨てて、なっちゃんのとこへと走った。


そして、思いきり、全体重をかけてなっちゃんに抱きついた。



「いって!」


「やったやったぁ!なっちゃんの150kmの球打てたぁ!」


あたしは嬉しさのあまり、涙がでてしまいそうだった。



「そーかそーか」


なっちゃんがあたしの頭をポンポンッと叩く。


わーん!


ダイエットとして、野球やっててよかったぁ!



「央…」


なっちゃんがあたしを呼ぶ。


あたしは上を見上げ、なっちゃんの顔をうかがった。



そして、あたしの顔に陰ができ、なっちゃんの瞳にあたしが映る。



「………ッ!」


気付いた時にはもう遅くて。


あたしの唇はなっちゃんの唇によって塞がれていた。



今、誰よりもなっちゃんを近くに感じることができてあたしは幸せ者だ。



なっちゃんがあたしから離れ、しゃがみこんだ。


「ん、なっちゃんどうしたの?」


「あかんあかんって!俺こんなん無理やけん!」


~やけんって、あなたも陸と同じ九州の方のなまりを使っちゃうのですかい?