また聞いてたの!?


あたし、心の中で喋っているつもりだったのに!


「そんな趣味あるか!」


「愛人は陸のくせに!」



「やめてくれ!ねぇから!」


なっちゃんが手を思いきり横に振った。



「てか、その変な妄想やめてくれないか?まず口で妄想を言うな!」


「いいじゃん、それをひっくるめて好きになったんでしょ?」



そう言うと、なっちゃんは黙った。



「お前、覚えとけよ」


「はい、野球行こう野球!あたしもダイエットしないといけん!」



あたしは、そういって素振りをした。


実をいうと、なっちゃんと付き合い始めてから体重が太っているのだ。


……これぞ、巷でいう幸せ太り?



「…野球をなめんなよ」


「何よ、今年の夏まで野球なめてたのはどっちだよ」


まあ。


今では、こんなにもすくすく大きくなってくれてるのだから…。



「お母さんは嬉しいよ、捺来ー」


なっちゃんの肩に手をのせて、肩を上下に揺らした。


「お前なんかに育てられた覚えはないわ!」



そう言ったなっちゃんの頬にあたしは口付けをしてみた。