* *



「あの…西高ってどちらですか?」



東・西高前のバス停にあるイスに座っていると、美人なおばちゃんに声をかけられた。


……西高目の前にあるじゃん。



「えと、こっちから向かって左側の建物が西高校です」


「そうでしたかぁ。ありがとうございます」



おばちゃんはニッコリ笑うと、そのまま西高方面に向かって歩いた。



「てか、あのクソ野朗遅!」


足を組みなおし、無意識にしてしまう貧乏ゆすり。



なっちゃんと順調に付き合って、早数ヶ月。



別に、付き合う前と態度とかは変わらないけれど。


なっちゃんは最近、感情を出すようになった。



これは、いいことだ!


関係の位置が、ライバルから、友人…友人から、想い人…想い人から恋人へと変わった今…。



あたしは幸せだよー!



もし、なっちゃんと結婚したら、桜庭海斗が義兄になるんだよね。


それにそれに、なっちゃんプロ入りする可能性がものすごく高いから、億万長者の奥さんにもなれちゃうし!?


やーん!


幸せ続きー!



「お前の頭には金と兄貴しかないんかい」


突然、低い声があたしの耳に届いた。