決心して出した答えだった。


陸はパンを食べながら、固まった。


「お前、何言ってんだよ!」


酒巻があたしの肩を掴んだ。


びっくりして、あたしは顔を見上げた。


酒巻も本当に優しい人だ。


親友である陸の事を一番に考えている。


「何で…?俺は嫌だよ」


陸の瞳が濡れていることに気付いた。


泣いているわけじゃない。


悲しんでいる。


「このままやっててさ、陸メリットないじゃん。」



「…メリットしかねぇよ…」


陸が呟いた。


「…このままがいい」


…あたしは何も言えなかった。


というより。

あたしなんかに何かを言う資格なんてないと思う。



自分がこの先何をやりたいのかもわからない。



自分が今、どの立場にいるのかもわからない。


切り開ける道なんてない。





あたしは、陸が羨ましい。