「おい…」


陸があたしを見ながら、そう言った。


「何よ」


「お前、今何やってんの?」


「へ?」


あたしは自分の全身を見下ろした。


両手は、シャツの中。


だって、下着のホックが取れたんだもの。


つけなきゃ、落ちちゃうじゃん。


「下着、直してる。それだけ」


「お前…!バカか!みんな見るだろ!」


「えー見てくれんのー。それはそれで嬉しいわぁ」


なぜか顔を真っ赤にする陸。


「お前、もう少し恥ってもんをなぁ…!」


「あ、直った!よかったぁ」


「もういいわ…」


陸が両手で顔を隠すように覆った。


何がしたいのか、全く分からないよ、陸ちゃん。



陸が教室のドアを開けると、もうほとんどが揃っていた。



あたしと陸は席が隣同士なのだ。


お互い自分の席に座り、また会話を続ける。



暇さえあれば、2人揃えば、いつも向き合って喋る。


それがもう日課になってしまったみたい、1年前から。