「違う違う。だから、お願い!陸の為にも、なっちゃんの為にも!」


「意味がわからん……」


なっちゃんはなびく髪をかきあげた。


その仕草までもが、物凄くかっこよくて。



硬直。


陸の気持ち、何となく分かるような気がする。


「わかった。行く…」


「本当!?」


なっちゃんがあっさり折れた。


「…せやけど、俺は予選なんか見ても、心は動かされへんからな」



「……くっ」


バレたか、この野朗…。


まぁ、大丈夫。


絶対、心動かされるんだからぁ!!



「なっちゃん…、過去を引きずるのは良くないよ」


「は?」


「過去ばっか気にしてたら、あたしみたいに良い子になれんよ?」



「意味がわからへん、誰がお前みたいなんになりたがるか」


なっちゃんは足を進める。


あたしはその後ろから必死に、追いつこうとがんばる。



……陸。

なっちゃん連れてく交渉成立したよ。


あとは。


なっちゃんの心を動かすだけだ。