「う、嘘だろ!?」
「実は本当なんです。だから、今なっちゃんの連絡先を聞く」
「大丈夫なのか?だって向こうはお前のこと…」
「大丈夫。あたし桜庭海斗とは、2度も顔を合わせてるんだ」
あたしは陸の言葉を遮って、そう言った。
「ハイ、おっけーでーす!今日のロケはこれで終わり!あとは、スタジオ収録のみでーす!」
……終わった!
と、思ったら桜庭海斗の周りに若い女性からおばちゃんまで集まってきた。
く、くそーーー!!
「あれじゃ、聞けねーわな」
陸が目を細めながらそう言った。
「あ、諦めないもん」
だって、なっちゃんの連絡先知りたいもん!
あたしは、桜庭海斗目当ての女共をかきわけ、どんどん近付く。
「桜庭海斗さん!!」
あーだめだ。
いくら叫んでも、周りがうるさすぎてすぐ掻き消されてしまう。
おまけに、桜庭海斗のマネージャーがあたし達から桜庭海斗を遠ざけた。
「な、なっ!」
でも、これだけで諦めるようにあたしはできてない。
「桜庭海斗さんっ!」
あたしがそう叫ぶと、奇跡的に桜庭海斗とあたしの目が合った。

