「でも、あたしなっちゃんの連絡先知らないよ?」
……うん。
「はぁ?今までどうしてたんだよ?」
「い、いや…。なんか成り行きと偶然が重なって」
「意味わかんねー」
陸がうちわをパタパタしながら、ため息をついた。
「今度こそ、ゲームに勝ちますよ!だって、もう熱湯風呂嫌やねんもーん!」
……へ?
え、何、今の声。
あたしと陸は顔を見合わせる。
そして、先程の声が聞こえた方向に目をやる。
「………わっ、わー!」
その方向にいた人間は、桜庭海斗だった。
人気番組の収録だろう。
喫茶店の中からでも、聞こえる…ということは結構なボリュームを出したな。
「り、陸っ!桜庭海斗!」
「わーかっとるがな」
周りのお客さんも、桜庭海斗をはじめとした芸能人を見たり、写メったりしている。
……まてよ?
桜庭海斗は、なっちゃんの兄だ。
ってことは…
なっちゃんの連絡先を把握するチャンス!?

